それに返事をして、この流れで乃愛に告ろうかとも思った。

　でも……できなかった。

　俺も乃愛に愛されている実感がほしかったから。

　今以上に、もっともっと俺のことを好きになってもらいたいから。

　だから……ごめん、乃愛。

　こんなやり方が正しいとは思わない。

　思わないけど……それでもやっぱり、俺の告白は保留にさせて。

　カッコ悪いけど、情けないけど、こんな駆け引きをしてしまうくらい、俺は乃愛のことが大好きなんだ。

　だから、お願い。

　俺が告白するまでに、もっと俺のことを好きになって。

　それまでずっと、俺のことを考えていてよ。

　後ろ髪を引かれながら、そっと乃愛を離して立ち上がる。

「……ごめん乃愛。俺、ちょっと用事を思い出した」

　こんな見え透いた嘘、バレバレだと思うけど。

　それでもやっぱり、俺は乃愛からもっともっと愛されたいんだ。