誰にもとられたくないし、ずっと俺のそばにいてほしい。

 乃愛はこの世で1番好きな女の子。

 それは間違いない。

 でも……、だからこそ……。

 乃愛には、もっともっと俺のことを好きになってほしい。

 そんな思いが、強くわき上がってくる。

 もちろん、俺の方が大好きなことはわかっている。

 でも、俺ばっかりが大好きなんじゃなくて、乃愛にも、もっともっと俺のことを好きになってほしい。

 こんな風に、ずっと俺のことを思っていてほしい。

 こんなの、わがまま以外のなにものでもないかもしれない。

 でも……。

 今みたいに真っ赤な顔で、うるんだ瞳で、心配そうな顔を見せられたら……。

 “もっともっと俺でいっぱいになってくれたらいいのに”っていう願望が膨らんでしまう。

 もし俺がこのままなにも言わなかったら、乃愛はもっと俺のことを想ってくれるのかな?

 そうなったら、うれしすぎるんだけど……。

 乃愛を見つめたまま、そんなことをぼんやりと考えていると、

「……王河?」

 と、乃愛が小首をかしげながら、窺うように俺の名前を呼んだ。