それでもあきらめられないとか、俺、往生際が悪すぎる。
でも、あと1回。
これでダメならあきらめよう。
そう心に決めて、ポンポンポンと、今度は無言でラグを叩いてみた。
するとあきらめ半分だったのに、今度は俺の隣に来てくれた。
やった、乃愛が隣にいる。
そのことだけで飛び上がるくらいうれしくて、俺はゆるんだ頬を指で触ってごまかした。
さっきから、ほんとブレブレ。
俺、乃愛のことで一喜一憂しすぎだろ。
でも悲しいかな、乃愛は違うみたいなんだよなぁ。
期末テストのあとから今日まで習った範囲の説明や宿題について、普段の乃愛からは想像もできないほど猛烈な勢いで教えてくれる。
そこに、甘いムードなんか、一切ない。
おかげで、たくさんあった宿題がどんどんと終わっていく。
それはありがたいのだけど、さすがにそろそろ終わりにしたい。
告白はともかく、プレゼントを乃愛に渡したいから。
といっても、急に渡すのも変だから、勉強一色の今の空気をなんとか変えたい。
とりあえず……。
『乃愛、昨日は学校が終わってからなにしてた?』
こんな会話から始めてみよう。