「乃愛、俺のこと見て?」

 キスの合間、あたしを呼ぶ少しかすれた低い声も。

「よくできました」

 そう言ってあたしの髪を撫でる大きな手も、顔の向きを変える王河の仕草も、全部が全部カッコよすぎて、ものすごくドキドキした。

「ほら。もう、目ぇつむれ」

 ちょっと照れたように、口早に告げる声も。

「……んっ」

 思わず出てしまった声に、

「乃愛の甘い声、かわいいな」

 そう言って、あたしをギュッと抱きしめる腕も。

「つーか、顔真っ赤。乃愛、今、すげぇドキドキしてたりする?」

 わかりきったことを聞きながら、あたしの頬をつつく意地悪なところも。

 全部全部ドキドキして、全部が全部大好きで……。

 その気持ちが、もう抑えられなくて……。

「王河……。あたし……王河のことが好き」

 さっきあきらめたはずの告白を、あたしは王河にしてしまった。