優しいところも、ちょっと生意気なところも、俺様なところでさえもすごく好き。
それから、それから……。
夢中になって、心の中で王河の好きなところを考えていたら、王河にほっぺをつつかれた。
「乃愛、今度は、ちゃんと目ぇつむれよな」
「……え?」
はじめ、王河がなにを言っているのか、わからなかった。
でも、唇をちょんちょんっと指で軽く触られて気が付いた。
「……え、王河? 今度は……って? えっ!? まさか、またしてくれるの? あたしにキス……」
驚いて、王河の腕の中でのけぞった。
1回でもびっくりなのに、2回目とか!?
それ、ほんとに本当!?
王河の言葉がうれしすぎて、信じられなくて、王河の胸に手をついて目を見張る。
「バーカ。なに驚いてんだよ。乃愛はただ、ドキドキしてれば、それでいーの」
いたずらっ子みたいな笑顔と、おでこをつんつんっと触る指先が落ちてきた。
「さっきは、“乃愛の初めて、全部俺がもらうから”って言ったけど。
やっぱ無理。乃愛のは、初めてだけじゃなくて、2回目も3回目も……って、何言ってんだろ、俺」