「えっ、なんで? 王河、突然どうしたのっ!?」

「べつに。ただ乃愛に会いたくなっただけ」

 サラッとそんな言葉を口にして、あたしの部屋に入ってきた王河は床のラグを指さした。

「座ってもいい?」

「う、うん。いいよ」

 そう答えながら、あたしはベッドから立ち上がった。

 うわぁ、夢じゃない。

 あたしの部屋に、本物の王河がいる。

 さっきもCMで見たばかりだけど、実際に会うのは久しぶりだから、めちゃくちゃうれしい。

 でもなんで、芸能人の王河と平凡な女子高生のあたしが知り合いなのかっていうと、王河は地元で有名な大病院・藤城総合病院のお坊ちゃまなんだけど、あたしとは家が近所の幼なじみで、一緒の高校に通うクラスメートだから。

 といっても王河の人気がすごすぎて、お仕事が忙しすぎる王河とは、いくらクラスメートだからっていってもなかなか会えない。

 今日も学校を休んでいたから、まさかこんな風に会えるとは思ってもみなかった。