「ほんと?」
「本当。つか、こんな恥ずかしいこと言わせるなよ」
乃愛、ちょいちょい、小悪魔だよな。
チラッと一瞬、乃愛を見やる。
「やった。王河の初めて、もらっちゃった」
キャッキャッとはしゃぐ乃愛が見えた。
「……え?」
俺の初めて……もらっちゃった?
なに?ソレ。
疑問のまなざしを向ける俺。
そんな俺を上目遣いで見あげながら、乃愛は口元で指を組んだ。
「だって、あたし。王河の初めてがほしいなぁって、ずっと思ってたんだもん。王河が、『おまえの初めて、全部俺がもらうから』って言ってくれたときから」
「……っ」
やばい。コイツ、マジで、小悪魔。
だって……俺をこんなにも動揺させるんだから。
今が暗闇で、本当によかった。
じゃなきゃ、まっ赤な顔を見られてたな。間違いなく。

