「うれしい。あたしも大好き」

 こう返してもらえるのも、すごくうれしい。

「乃愛……。キスしていい?」

 こんなことを、こんな場面で、あえて俺が聞いたのは。

 初めて乃愛にキスをしたときのこと。

 後悔はしていないけど、若干、反省はしていたから。

 だから今日は、きちんと告白して、きちんとOKをもらってから、乃愛にキスをしたかった。

 乃愛の返事を待つ間、ありえないくらい緊張する。

 胸のドキドキがひどすぎて、口から心臓が飛び出しそう。

 乃愛、なにしてんだよ。

 “早く返事をしろよ”

 そんな言葉がのどまで出かかったとき……。

「……うん」

 恥ずかしそうな乃愛の声が聞こえた。

「バカ。待たせんなよ」

 そんな言葉を言ったのは、もちろん、照れ隠し。

 ドキドキしていたのを、見破られないため。