ガキの頃と違って、さすがに手ではできないから。
砂場に落ちていた忘れ物のスコップを貸してもらう。
とはいっても、そんなに深くは埋めてない。
もしかすると、時間の経過とともに露出して、なくなってしまったかもしれない。
でも……、きっと、あるはず。
スコップを何回か、そして何箇所か土にさしてみる。
「王河。なにしてるの?」
昔と同じように、乃愛がやってきた。
その瞬間、音と光が俺たちを包み込んだ。
――ドドーン。
2駅離れていても、腹にずっしりと響く重低音。
――パラパラパラ……。
夜空を彩る大輪の花。
「あ。王河っ!花火が見える~♪」
さっきまで泣いていたのに、乃愛ははしゃいだ声をあげ、うれしそうに手を叩いた。

