うっとりと花火を見つめ、それから、花火のことを親に知らせるためにかけだしていった。

『パパ~。ママ~。花火、花火~♪』

 その頃はまだパパ、ママと呼んでいた乃愛のはしゃいだ後ろ姿を見送りながら、俺はポツリと小さくつぶやく。

『花火より、乃愛の方がキレイだよ』

 ……って、どんなガキだよ! 信じらんねー。超マセてねー?

 そのクセ、好きとは言えないなんて。

 チキンにもほどがある。

 乃愛の手を引きながら、あの日カプセルを埋めた場所を探す。

 確か、公園の1番奥で夜祭りをやっていたな。

 遊具もたくさんあって、その中で……。

 ジャングルジムを背にして、右から数えて3番目の木。

 確か、その下に、埋めたよな。

 さすがに記憶もあいまいだけど、とりあえず、掘ってみるか。

 乃愛を近くのベンチに座らせて、俺はしゃがんで掘り出した。