『うんそう、秘密。俺と乃愛、ふたりだけの秘密だから』

 シーと言うように、口元近くにひとさし指を持っていく。。

 でも、このぐらいじゃ弱いよな。

 万が一、親とか兄貴にバラされたら、恥ずかしくてたまらない。

 だから俺は、

『うん、わかった~。ふたりのひみつ、ふたりのひみつ~』

 と、無邪気に笑う乃愛に、念押しのつもりでこう言った。

『やっぱいいや。乃愛、忘れろ』

『え?忘れるの~?』

『そう、忘れるの』

 そう言った瞬間、ドドーンとでっかい音がした。

 乃愛が空を指差し、『あ~! 花火~!!』とうれしそうな声をあげる。

『ね~ね~、見て見て~。王河~。花火~、花火~♪キレイだね~』

 俺の浴衣のそでを引っ張り、興奮した声をあげる。

『すごい、すごい~。キレイだね~』