そのしぐさがかわいいから本当は今すぐ渡したくなるけど、10年後のために我慢して言う。
『今は、ダメ』
『うぅぅぅぅ……』
乃愛は小さくうなり声をあげながら、ぶーたれた。
ほっぺを膨らませて、かわいいったらありゃしない。
かわいすぎる乃愛を横目で見ながら、俺はカプセルに土をかけた。
『いいか?乃愛。このことは誰にも言うなよ? 俺と乃愛、2人だけの秘密だぞ?』
そう言って、俺は、そっと後ろを振り返った。
親や兄貴たちの様子を窺うために。
よし、親も兄貴たちも見てないな、成功だ。
しかしまだ問題はある。
『ひみつ~?ひみつなの~?』
このぽやんとした声の持ち主。

