乃愛がトイレに行っているときに引いたくじで、俺はおもちゃの指輪を当てた。

 それを乃愛にプレゼントしたいのに、俺の周りにも、乃愛の周りにも、当たり前のように親がいる。

 その上俺には煌河と瑠河という世話焼きな兄貴が、2人もくっついている。

 もちろん乃愛にも、琉聖さんっていう妹溺愛のお兄さんがいる。

 そんな中で乃愛に指輪なんて渡せなくて、俺は指輪を公園に埋めた。

 そう、ベタだけど、タイムカプセル。

 これを10年後――、大人になったら、乃愛に渡そう。

 そして今と同じこの公園で、花火を見ながら告白するんだ。

 俺はそう固く心に決めた。