「乃愛、着いた。ここ覚えてる?」

 つないだ手を離すことなく、のぞきこむように隣の乃愛を見る。

「えっと、ここは……」

 顔をきょときょと動かして、乃愛はしばらく考えこんだ。

 まぁ、無理もないか、久しぶりだし。

 そう思って、せかすことなく乃愛の答えを待つ。

 するとほどなくして、乃愛は答えにたどり着いた。

「もしかして、ちっちゃいときに、みんなでお祭りに来た公園?」

「うん、そう。あのときの公園」

 俺はゆっくり深くうなずいた。

「でも今日は、あのときみたいにお祭りをやっていないから、ものすごく静かだな」

 花火大会を見に行っている人が多いせいか、この公園にはあまり人がいないようだ。

 それにもう夕暮れだし、きっと大丈夫だろ。

 そう思って俺はサングラスをはずし、公園の中へと乃愛をうながした。