その沈黙を破ったのは、乃愛だった。
「王河、サングラスなんて珍しいね」
「うん、まぁ、薄い色のサングラスだけど、バレないようにって、夏帆が」
「え?夏帆が?」
「そう。帽子もセットでつけろって」
「…………」
「本当はマスクもしろって言われたんだけど、それはさすがに却下した」
「……なんで?」
「それは、単純に暑いから」
「そう、なんだ。王河……なんか、夏帆と仲がいいね」
乃愛は、少しだけ下を向いた。
「なにそれ。もしかして、ヤキモチ?」
からかうように、冗談っぽく言って、乃愛の顔をのぞきこむ。
すると、唇をかみしめた、明らかにテンションの低い乃愛の顔がそこにはあった。
「え?乃愛?」
どうしてそんな顔をしているんだよ。

