その後ろ姿に呆気にとられながら、冷静に切り返す。

『……は?この暑さで、着ぐるみはナシだろ。つか、それ以前に、乃愛が俺だって認識できねーよ』

 でも、そんな声。

 夏帆には届かねーな。

 だって、アイツ。

 もう、改札をくぐってる頃だし。

 まぁ、いーか。

 着ぐるみはなしだとしても、薄い色のサングラスと帽子くらいは、かぶっていくかな。

 それもこれも乃愛のためだ。

 ……と思ったけど、乃愛は俺に気付くかな?

 だって今日の花火、夏帆となっちゃんと紗良ちゃんと行くつもりなんだろ?

 代わりに俺がいるなんて、乃愛は夢にも思ってないだろ?

 そうそうそれから帰ってきたら、なっちゃんと紗良ちゃんにも、今日の報告がてら、お礼を言わなきゃな。