『藤城王河だってバレたら大変だから。アンタ、日曜日はちゃんとサングラスで変装してね!』
語気荒く、鋭く言い放つ夏帆。
ひとさし指をつきたて、それを俺に向けている。
『はぁ?なんで?つか、変装とか面倒くさい。バレたらバレたで、べつにいいっしょ』
やる気なくつぶやく俺に、
『アンタはよくても、乃愛が困るの。迷惑するの!!』
夏帆は、俺の腕をペシペシ叩いた。
『……ったく。面倒くせーなー』
そう言いつつも。
乃愛が困るなら、変装でもなんでもしてやるけど?
そう考える俺。
『サングラスは絶対でしょ。で、帽子ね。麦わら帽子とかどう?でーっかいツバの』
『……は?』
『女優とかがかぶってそうなヤツ』
『冗談』

