ドキドキを通り越して、胸がギュッってするような感覚に、思わず目をキュッとつむった。

 ダメだよ、王河。

 こんなことをされたら、あたし、困っちゃうよ。

 だって、さっきあきらめたばっかりなのに、王河に告白をしたくなっちゃうから。

 大好きって叫びたくなっちゃうから。

「こんな風に真っ赤な乃愛も、すごくかわいいけど」

「……え?」

 目を開けると、真面目な顔をした王河が、ポソッと聞き取りにくい声で言った。

「その顔は、俺の前だけにして」

「え?」

「かわいすぎて、いろいろヤバイ」

「……王河?」

 意味がよくわからなくて首をかしげたあたしの頭をポンポンッと軽く撫でてから、王河は教科書を指さした。

「じゃあ、そろそろ宿題でも始めるか?」