その一方で、そう思わせてくれたのは、“お前のおかげ、”そうわかるように、俺はあえて、こんな言葉も口にした。

『夏帆には……。また俺のことを“好き”だって、思わせてやるよ』

 これは、“お前が好きだと言ってくれた頃の俺に戻るよ”っていうメッセージ。

 問題は、それが夏帆に伝わるかだけど……。

 祈るような気持ちで、夏帆の顔を見る。

 考え込むように、唇を引き結ぶ真剣な顔。

 その顔が、次の瞬間、好戦的な笑顔に変わった。

 よかった。

 俺の気持ち、伝わったみたいだな。

『乃愛を笑顔にできなかったら、アンタをコロス』

 夏帆は、不敵な顔で、こぶしを俺の顔に近づけた。

『ハハッ。それは、怖いな』

 両手をあげる降参のポーズで、俺は首を左右に振った。

 この話は、これで終わり。

 そう思ったのに……。

『でも、それ以上に、カッコ悪かったら――』

 夏帆は、声をひそめて俺を見あげた。

『あたしは、アンタを、ソッコーコロス』