「アンタの負けず嫌い。今、変な方向に発揮されてる。だから、身をもって教えたかった。好きなヤツには、負けてもいいってことを」
藤城の真剣な瞳が痛かった。
あたしの“こじつけ”がバレるんじゃないかと怖かった。
だから、藤城以上の眼力で、あたしは藤城を見返した。
本当の本当の本当は、恋愛は勝ち負けじゃないって思う。
でもここは、自分の考えを曲げても、貫きたいものがある。
守りたいものがある。
だから、あたしは続けた。
「それは、カッコ悪いことじゃない。むしろ……。カッコいいことだと思う。あたしは、今。アンタに敗北宣言をした自分を。ものすごくカッコいいと思ってる」

