「なぁ、乃愛。それ思ったの、さっき俺が乃愛を抱きしめたとき?」
「えっ……、あっ……、そう……かな」
ズバリと言い当てられたことに動揺して、ごまかすことができなかった。
王河が言ったように、さっきふわっと抱きしめられたとき、王河の背が前より高くなっている気がしたの。
王河の言葉で、さっき抱きしめられたことを思い出して、また顔も体も熱くなった。
王河ぁ、そこは……気が付いたとしても、スルーしてほしかったよぉ。恥ずかしいから。
うつむいてモジモジしていると、あごにスッと指をかけられた。
クイッと持ち上げられて、至近距離から見つめられる。
「俺はそのとき、“俺の腕の中にすっぽり入る乃愛はかわいいな”って思ったよ」
「……っ」
――ボボボボボッ。
そんな音が聞こえるかと思うくらいの勢いで、さっきまで以上に顔も体も熱くなって、一気に真っ赤になるのが自分でわかった。
「乃愛、耳まで真っ赤」
目を細めてクスッと笑って、王河はあたしのあごから指を離し、代わりにあたしの耳を軽く撫でた。
「かーわいい」
「……っ」