「……っ、もぉ」
恥ずかしさをこらえて、王河の出したスプーンをパクッと口に入れた。
「あー、間接キス」
「……っ!?」
「って、からかわれなかった? 子供の頃」
クスッと笑いながら、王河はさっきまであたしが食べていたメロンゼリーをすくって口に入れた。
「ん、こっちもうまい。乃愛、もうひとくち」
そう言って王河は、あたしが持っているメロンゼリーを、もう一度すくって食べた。
そのスプーンの動きを、あたしは目で追ってしまう。
頭の中では、王河に言われた“間接キス”っていう言葉がぐるぐるしている。
うー、もぉ、ほんと。
王河はあたしをドキドキさせる天才なんだからっ。
ふぅ。暑い、暑いっ。
でも、もう、勘違いなんかしないもん。
いくらかわいいって言われても、ゼリーを食べさせてくれても、間接キスってからかわれても。
そんなの、王河にとっては、特別でもなんでもないんだから。
“あたしは、ただの幼なじみ。
あたしは、ただのクラスメート“

