王河はなんの気なしに言ったことかもしれないけど、言葉の響きだけで、また勘違いをしてしまいそう。
王河もあたしのことを好きなのかな?って。
そう思っていたら、“いいよ”とも“いや”とも言えなくて。
あたしが答える前に、
「いいじゃん、乃愛。両方食べてみたくない?」
と言って、王河は桃のゼリーを手にとった。
「あ、うまっ。乃愛も食べてみ?」
「う、うんっ」
王河にうながされて、メロンのゼリーに手を伸ばす。
「あっ、ほんと。おいしい~!」
あまりのおいしさに、テンションが上がった。
「……ふっ」
王河が優しい瞳で笑みを漏らす。
「え? なぁに? 王河」
スプーンを口に運びながら聞いてみた。
「乃愛、クリームついてる」
「えっ、クリームっ!?」
クスクスッと笑いながら、王河はティッシュであたしの口元をふいてくれた。
は、恥ずかしい~~。
いつも気をつけて食べているんだけど……。
あまりの恥ずかしさに、うつむいてしまう。

