「いやいや、料理ならシェフが作っているし、乃愛が手伝うことはなにもないって」 「じゃあ、お部屋のお掃除とか手伝ってくるね」 「いやいや、それもハウスキーピングの人がいただろ?」 「じゃあ、この別荘広いから、探検でもしてくるね」 っていやいや、何度も来たことがあるだろ。今更探検って、という言葉は出せなかった。 だって乃愛の腕を軽くつかむと、乃愛はそれを振り切るようにして、階段をおりて行ったから。 そんな乃愛の態度に、俺はその場に立ち尽くして、呆然とするしかなかった。