「ルーズリーフでもなんでもいいよ、ありがとう。ごめんな、教科書もノートも忘れて」
「いいよ、全然大丈夫。王河、今日もお仕事だったんでしょ? じゃあ、持っていかないよね、教科書とかノートとか」
「んー、まぁ、それだけじゃないけど……」
歯切れの悪い言い方をして、王河はあたしが差し出したルーズリーフを受け取った。
「ありがと。でも宿題の前にこれ食べない? 冷たいうちの方が、きっとおいしいと思うから」
王河は、テーブルの上のフルーツゼリーを指さした。
あたしが置いたトレイから、飲み物やお菓子を出してくれている。
こういう気が利くところも、大人っぽくてすごいと思う。
本当は、すぐにでも宿題にとりかからなくていいのかな?とも思ったけど……。
王河が食べたいなら、それでもいっか。
確かに冷たい方がおいしそうだし。
そう思って、軽くうなずく。
「乃愛が好きそうだから買ってみた。メロンと桃、どっちがいい?」
「ん~。どっちもおいしそうだね~」

