でも画面をチラッと見ただけで、すぐにポケットにしまってしまった。
「大丈夫? 仕事とか?」
「んー、まぁ」
歯切れの悪い言い方をして、王河はそっぽを向いた。
その様子がいつもの王河っぽくなくて、子供みたいでちょっとかわいい。
「大丈夫?王河。さっきHRも授業も無理だって言ってたし、何度も時計を見てるから、もう行ったほうがいいんじゃないの?」
「んー、でもまだ行きたくない」
「えっ!? どうしたの?そんなことを言って。いつもの王河らしくないよ」
駄々をこねる子供みたいに、ムスッと唇を尖らせた王河は、やっぱりいつもの王河と違って、かわいいなぁと思ってしまう。
「仕方ねーじゃん。乃愛と離れたくないんだから」
そんなことをふてくされたように言う姿も、ものすごーく愛おしい。
あたし、本当に王河のことが大好きなんだなぁ。
……って、ダメダメ。
王河には時間がないんだから。
「そ、そんなことより、時間でしょ? 王河、またブーブー鳴ってるよ」
って、ちゃんと教えてあげないと。
王河だって、さっきスマホをしまったポケットのあたりをチラチラ見ているから、ものすごく気にしているんでしょ?

