「用事は大丈夫なの?」
「ん?」
「王河が今日学校に来た理由。大事な用があるからだって……」
「あぁ、それなら大丈夫。さっき1個終わらせたし、2個目はまさに今、その最中だから」
「……え?」
「だって俺の2個目の大事な用事は、乃愛とこうしていることだから」
王河は軽くあたしを抱きしめたまま、サラッとあたしの髪を撫でた。
えぇ?どういうこと?
王河の用事が、あたしとこうしていることってなに?
頭の中がハテナマークでいっぱいになる。
でも王河は、あたしのことが好きなわけじゃないんだよね?
告白だってスルーされたし。
それなのに、どうしてこんな風に優しく抱きしめてくれるんだろう?
王河の考えていることがわからない。
だから王河の胸に手をついて、王河の目を見つめてちゃんと聞こうとした。
でもその瞬間、ブブブブ……と、小さな音が聞こえてきた。
「あ、ヤベ……」
少し顔をしかめて、あたしを離してから、王河はポケットからスマホを取り出した。

