あ、でも、夏帆やなっちゃんは、一緒に食べるのを嫌がりそう。

 やっぱり、ランチは諦めなきゃかなぁ。

 靴箱で上履きに履き替えて、ため息をつく。

 それから3階の1年A組の教室に向かおうと階段に足を向けると、王河は反対方向に足を向けた。

 あれ?王河、教室がどこか忘れちゃったのかな?あまり学校にこないから。

 なーんてまさかとは思うけど、でもどうして北側の1階の廊下を奥に進んでいくんだろう?

 北側の1階は、資料室とかが並んでいるだけなのに。

 ――キーンコーンカーン……。

 あ、予鈴だ。

 今日は腕時計も忘れちゃったし、校門のそばでずっと立ち話をしていたから時間がわからなかったけど、もうそんな時間なんだ。

 それなのに王河は、まだ教室に向かおうとしない。

「ねぇ、王河。もうすぐHRが始まっちゃうよ。どこへ行くの?なにかの資料を借りたいの?」

「んー、そうじゃないけど……」

 言いよどむように言って、王河は資料室とかがある並びの空き教室に入って、ドアを閉めた。

「ごめん、乃愛。俺HRも授業も出られる時間がない」

「えっ!?」