そう思ったとき、森くんが申し訳なさそうな声で言った。

「ごめん、そうしたいのはやまやまなんだけど、ウチの別荘、そんなには人数が泊まれなくて……。だからなっちゃんや紗良ちゃんは誘えなかったんだ。……ごめんね」

 見ると、森くんは顔の前で両手を合わせて謝っている。

「あー、それなら大丈夫。ウチの軽井沢の別荘に行けばいいから。乃愛は何回か来たことがあるよな?」

 王河があたしの顔をのぞきこむようにして聞いてきた。

「う、うん」

 とは言ったけど、あたしが行ったことがある情報は、今必要なのかな?

「ゲストルームもたくさんあるし、森くんも清水くんも、夏帆もなっちゃんも紗良ちゃんもみんなで一緒に行こうよ」

 王河はあたしの手を握り直してそう言った。

「でも、なんで芸能人で仕事の忙しい藤城くんが、そこまでしてくれるわけ?」

 森くんが、顔を斜めに傾けて不思議そうに聞いた。

 王河はつないでいるあたしと王河の手を前に出して、みんなに見せながらこう言った。

「言わなくてもわかると思うけど、“乃愛は俺の”だから、森くんにも清水くんにもあげられない。でも、乃愛の友達とは俺も友達になりたいから。だからみんなで一緒に旅行に行こう」