「あ、藤城くんもおはよう~」
紗良ちゃんはあたし達にだけではなくて、王河にも挨拶をしてくれた。
なっちゃんも夏帆もあんな感じだったから、普通の様子の紗良ちゃんにホッとした。
「おはよう紗良ちゃん」
王河も普通に紗良ちゃんに挨拶をした。
――のだけど、
「……え? 紗良ちゃん!?……って。ふ、藤城くん!?」
と紗良ちゃんは驚いたような声をあげて、目を大きく見開いた。
……あれ?王河は今まで紗良ちゃんのことをなんて呼んでいたんだっけ?
名字だっけ? 名前だっけ?
でも紗良ちゃんがこんなに驚くってことは、名字だったのかな?
そう思ったとき、
「なっちゃんも、おはよう」
さっき無視されたにも関わらず、王河は涼し気な声でなっちゃんに呼びかけた。
「な、な、な、……なっちゃん!?」
横に向けていた顔を素早く戻し、ものすごく驚いた顔でなっちゃんが言った。

