王河と手をつないだままの状態で、学校の校門前に着いてしまった。
それだけでも信じられないことなのに、その上王河は、そのまま学校の敷地内に入ろうとした。
え、うそでしょ、王河。
いったいどうしちゃったの?
今までこんなことをしなかったのに、今日の王河は、ものすごくおかしいよ。
あまりに恥ずかしくて、力の限り手を離そうともがいてみた。
だけど、それは無駄だった。
だって、もっと強い力で握られて、おまけに強いまなざしで、王河はあたしにこう聞いたから。
「乃愛、軽井沢に誘ってきた男2人って、誰と誰?」
「……え?」
なんで急にそんなことを聞かれるのかよくわからない。
王河が立ち止まったのは、校門を入ったばかりのところだから、その横を興味津々生徒のみんなが通りすぎていく。
その中で女子たちのうらやましそうな視線が目立って、突き刺さってくるようで、あたしはいたたまれなくなって、王河の手を引っ張るようにして歩き出した。
だってあのまま注目の的でいたくなかったんだもん。
それに、『軽井沢に誘ってきた男2人って、誰と誰?』とか、王河はなんで今、そんなことを言い出したんだろう?