『っ、えっ、王河っ!? なんでっ!? なんで朝からウチにいるのっ!?』

『んー?べつに。乃愛においしいフレンチトーストを食べさせたくなっただけ』

 と口ではそんなことを言ったけど。

 もちろん、他の男と軽井沢に泊まりで行くことを阻止するために決まってる。

 つか、乃愛、なにやってんだよ。

 他の男のことよりも、早く、たくさん、俺のことを好きになってくれよ。

 そうじゃなきゃ、いつまでたっても、告白なんかできないだろ。

 俺ばっかりが大好きで、カッコ悪すぎて言えるかよ。

 “俺は乃愛のことが、大大大好きなんだ!“って。

 悪いけど俺は、乃愛が思っている以上にベタ惚れで、引くくらい乃愛のことが大好きなんだよ。

 こうして迷惑もかえりみず、朝早くから押しかけるくらい。

 それぐらいわかるだろ?

 でも鈍い乃愛のことだから、もしかしてまたわかってないのかもしれない。

 ……仕方がない。

 学校に行く道すがら、“好き“とは直接言わないで、好きなことを態度で示してみよう。

 なぁ、乃愛、頼むから。

 早く俺のことを、大大大好きになってくれよ。