返事がない王河の手から、自分の手を離そうと引っ張った。

 でも……、

「あれ?」

 それ以上の力で、王河があたしの手を握ってしまった。

「”乃愛は俺の“って言ったでしょ?」

「……え?」

「それをみんなに証明しないと」

「え? どういうこと?」

 そう聞いているのに、王河はニコッと笑っただけで、なにも教えてくれなかった。

 それどころか、手をつないだまま、学校までの道のりを歩き出した。

「乃愛は隙がありすぎだから、こうしないといけないんだよ」

 かすかに、本当にかすかにそんな王河の声が聞こえた気がするんだけど、それは王河のことが大好きなあたしの……、空耳だったのかなぁ。