視線がやけに色っぽい。

 それに、王河の大きな手で撫でられる感覚は、安心感と同時にキュンキュンを連れてくる。

 あー、もう、なんかダメだ。

 足がふにゃふにゃして、ひざがなんかガクガクしてきた。

 そんな状態にあるあたしを知って知らずか、クスッと目を細めて笑った王河は、あたしの手をそっと引っ張った。

「んじゃ、乗り換えに向かおうか」

 そのあともずっと夢見心地のままついた学校の最寄り駅。

 でもさすがにここからはまずいと思って、

「王河、そろそろ手を離さない?」

 と言ってみた。

 だってこのあたりには、南ヶ丘高校の生徒がわんさかたくさんいるんだもん。

 それに、めったに学校に来ない王河の登校には、当たり前に女子が大喜びをしているし。

 ほら、あちらこちらで、めちゃくちゃ歓声が上がっている。

 そんな中で王河と手をつないだままとか、あたしはそんな怖いもの知らずじゃないし。