――プシュー。

 乗り換えの駅について、みんなに続いてホームに降りる。

 その前に、王河は抱きしめていたあたしを離してくれたけど、でも今度は手は握っている状態。

 こんなの、うれしいけど、困っちゃうなぁ。

 だって、切なすぎるから。

 それに、同じ学校の人に見られたら恥ずかしすぎる。

 そう思っているのに、まったくと言っていいほどひとめを気にしていない様子の王河は、

「乗り換えって、どっちだっけ?」

 と、あたしの顔をのぞきこむようにして聞いてきた。

「あ、あっち」

 手をつないでいない手で方向を指し示す。

「あ、でもその前に――」

 そう言って王河は、あたしの髪にサラッと触れた。

「ほんとキレイな髪。でもさすがに、満員電車で乱れていたから」

「え、あ、ありがとう……」

 う、わー。

 王河が近い。

 ドキドキするなぁ。