「そうです。あの、オレ、キミのことが……」
「好きでも無理です。ごめんなさい」
あたしはなにも言っていないのに、そんな声が後ろから聞こえた。
「この子、俺の彼女なんで。あきらめてもらってもいいですか?」
「……え?」
“彼女!?“
驚いて振り返ろうとするのと、王河が後ろからあたしをふわっと抱きしめるのが同時だった。
ななななな……いったいなにが起きているの?
「「「ギャーーーーッ!!!!!!」」」
キャーじゃなくて、ギャーっていう女子たちの悲鳴が聞こえる。
夢じゃない……よね?
え、えっと……。
これって……。
いわゆるバックハグっていうやつなのかな?
だとしたら、なんで?
なんで王河があたしにするの!?
疑問符が頭をかけめぐって、心臓がドキドキうるさくて、背中に王河の体温を感じた。

