ベッドのふちに座ってボーッとする。

 スマホの画面に、“Mofu*Rin”の壁紙の中、7月17日木曜日の文字と6時35分の時間が表示されていた。

 中学校よりも高校の方が遠いから、30分も早く起きなくちゃいけないのが、本当にツラい。

 眠い目をこすってパジャマのまま、あたしは1階のリビングに向かった。

「ふぁ~」

 大きなあくびが出てしまう。

 眠すぎて、トテトテトテッとおぼつかない足取りで階段を下りて、まずリビングのドアを開けて家族に挨拶をして、それから洗面所に行くのがいつものあたしの行動パターン。

 だから、今朝も同じようにリビングのドアを開けた。

「おはよ……ござ……いぃます」

 目をほとんど閉じた状態で頭をちょっと下げて、いつもの通り洗面所に行こうとした。

 でも今日は、いつもの朝とはなんだか違った。

「あぁ、乃愛おはよう」

 これはお父さんの声。

「乃愛、おはよう~。今日はちゃんと起きれたのね~。よかったわ~」

 これはお母さんの声。

「乃愛、目ぇあいてないぞ~。でも、いつ見てもかわいいなぁ。さすが俺の妹だ~」

 これはお兄ちゃんの声。