もちろん、王河との通話は切れている。

 うぅっ、困るよぉ。今朝に続いてまた今も。

 王河に変な誤解をされちゃうよー。

 眉毛をハノ字に下げて唇をかみしめる。

 仕方がない。すぐに王河に訂正をしよう。

 そう思ってかけたけど、王河の電話は通話中で、何度かけてもつながらなかった。

 そう……だよね。

 王河にとっては、あたしが誰と旅行に行くとか、そんなのどうでもいい話だもんね。

 現実を突きつけられた感じ。

 あたし、本当に王河にフラれたんだなぁ。

 目に涙がたまるのを感じながら、スマホをバックの中に入れる。

 あ、そういえば、王河にシャツをどうすればいいか聞けなかった。

 その前に、王河の用事って何だったんだろう?

『……は? シャツ?』

 って言ってたけど、その件じゃないから、なんで電話をくれたんだろう?