「アンタ知ってる? 昨日の乃愛の誕生日、告白ラッシュですごかったんだから。たぶん30人くらいに告られてたよ。だから今日は少なかったんだけど、それでも5人に告られてたよ。内訳は……他校の生徒1に、同学年の他クラス1、ウチのクラス1に、先輩2かな。
しかもそのうち1年の2人には、夏休みに軽井沢に誘われてんの。それも泊まり。え?乃愛? もちろん行くって返事をしていたよ。人数は4人。ちなみにあたしも一緒に行くんだけど」
……って。
えーっ、夏帆っ!? なんでそんなことを言っているの!?
あたしは軽井沢に行くなんてそんなことを、ひと言も言っていないのに、夏帆はまるで行くかのように王河に話をしている。
「か、夏帆っ。困るよっ。あたしまだ軽井沢に行くなんて森くんにお返事をしてないよ。それに、お母さんにダメって言われるかもしれないし。だから、王河にそんなことを言わないでっ」
そう言いながら夏帆の制服をキュキュッと引っ張ったけど、無反応の夏帆はそのまま王河に話し続けた。
「詳しく言うと、ひとりは入学式以降、30回も乃愛に告るような情熱的な男で、もうひとりはなんだかんだ理由をつけて、乃愛に話しかけてくる男。ちなみにその男は、今日やっと告った感じ。2人とも学校で超人気のイケメンだし、とられるかもね、っていうか、間違いなくとられるんじゃない?乃愛を。いい気味だわ。アンタはせいぜい吠え面でもかくといい」
超淡々と言ってから、夏帆は画面にタップをし、「はい」とあたしにスマホを渡した。

