「こちらこそ、いつも乃愛と仲良くしてくれてありがとう。宿題がんばってね」
「ありがとうございます。乃愛さんに教えていただけてありがたいです」
「そんなそんな。この子でよければいつでも聞いてね。じゃあ、王河くん、乃愛、勉強がんばってね」
お母さんはにこにこしながら王河とあたしの顔を交互に見た。
それから、廊下を歩いて1階のリビングに向かって階段を下りていった。
「え? え? 王河、宿題ってなに? 勉強ってなに?」
お母さんが言っていた“宿題”とか“勉強”の意味がわからなくて、トレイを持って部屋に入りながら王河に聞く。
そしてテーブルの上にトレイを置こうとして、教科書とノートが出ていることに気が付いた。
「あれ? 教科書?」
さっきまで出ていなかったのに、いつの間に?
ひつじの“Mofu*Rin”の絵がかわいいノートは、あたしのだよね?
デスクの上に出しっぱなしにしていた教科書とノートがどうしてテーブルの上にあるんだろう?

