「じゃーね、バイバーイ。また明日~♪」
放課後、なっちゃん、紗良ちゃんと駅前の大型本屋さんの前で別れて、あたしと夏帆は2人で本屋さんに入った。
夏帆は参考書が目当てみたいで、あたしは雑誌でも買おうかな~と思っていた。
そのタイミングで、バッグの中でスマホがブルブルッと小刻みに震えた。
誰だろう?と見ると、王河からの電話だった。
王河はメッセージよりも電話の方をよくくれる。
「夏帆ごめんね、ちょっと電話……」
そう言ってあたしは、急いで本屋さんから出た。
今朝はなんか変な感じになっちゃったし、昨日ウチに忘れていったシャツのこともあるから早く連絡をしたかったけど、王河がお仕事中だったらと思うとかけられなかった。
もちろん、気の利いたスタンプも思いつかなくて、なんの連絡もできなかった。
だから王河から電話をくれて本当によかった。
シャツの受け渡しをどうしたらいいかを聞けるから。
王河の用事も、きっとそのことだと思う。
本屋さんからちょっと離れて、細い路地に入って電話に出た。
「もしもし」