と普段は無口な紗良ちゃんが、あたしを気遣うように言ってくれた。
「なっちゃんは少女マンガみたいな激モテに、昔から憧れているから、今の乃愛ちゃんの状況がうらやましいのかもしれないけど。でも乃愛ちゃんは、藤城くん……」
「ダメッ!!」
なっちゃんは、スプーンを握りしめて、かすれたような声でそっと叫んだ。
「「「……え?」」」
なっちゃんの言葉に、紗良ちゃんだけじゃなくて、あたしと夏帆の言葉も重なった。
『ダメッ!!』って、なっちゃん。
いったいどうしたんだろう?
3人がきょとんと見つめる先、なっちゃんは首を横にブンブン振った。
「藤城くんは、絶対ダメ。だって乃愛ちゃんに、ちゃんと好きって言わないんだもん。今朝乃愛ちゃんの話を聞いて、あたし、森くんとか清水くんを応援するって決めたんだ!」
「……なっちゃん?」
「だから今、わざとあんなことをぺらぺら言ってた。うらやましいとかの問題じゃなくて、乃愛ちゃんには、ちゃんと気持ちを伝えてくれる男の子の方がいいと心の底から思うから」
なっちゃんは、さっきまでとは違う真剣な顔をあたしに向けた。
「だってあたしは、大好きな乃愛ちゃんに、幸せになってほしいから。だからあたしは森くんや清水くんを応援したいと心から思う」
「なっちゃん……」

