「ありがとう。あ、包装がすごくかわいい~」
「でしょ。それにおいしいよ~」
「ありがとう。もしかして、これも?」
「うん、これも」
「「レモン味」」
ふたりでハモって、くすくす笑う。
というのも、清水くんは忘れ物がとっても多いみたいで、あたしにいろいろな物を借りに来る。
そのたびにレモン味のお菓子をくれるから、不思議に思って、前に聞いたことがあるの。
『清水くんは、どうしていつもレモン味のお菓子をくれるの?』って。
そうしたら、『僕の中で、牛乳に一番合うお菓子って思うからだよ~。僕さ、高校の測定で身長が160センチだったんだよね。だから、もっと伸ばしたくて、前より牛乳を飲むようになったんだけど。レモン味のお菓子と一緒のときが一番おいしいと思ったんだよね。だから、いっつもレモン味のお菓子を持ってんの』って教えてくれた。
片手にパックの牛乳を持ちながら、にこにこ笑っていた清水くんを思い出していると、「お昼にみんなで食べてね~」と言って、清水くんはさっきと同じ個包装のクッキーをたくさんくれた。
「んじゃ、モバイルバッテリーありがとね、乃愛ちゃん」
「こちらこそ、こんなにたくさんお菓子をありがとう」