「身長デカくて態度もデカい。おまけに、気まぐれで自分勝手。そんなヤツのどこがいいの?」
夏帆は腰に手をあて、切れ長の大きな目を細めて、小首をかしげた。
気まぐれ……。
そう、だよね。
あのキスは……王河の気まぐれ。
確かに、その言葉がぴったりくるかも。
だとしたら、このまま王河のことを好きでいたら、あたしはずっと悩み続けることになってしまう。
だったら、あたしのことを好きって言ってくれる男の子のそばにいた方が、幸せになれたりするのかな。
「そろそろ行こっか、教室」
「うん」
夏帆に促されて、あたしは森くんと王河のことを一生懸命考えながら教室に向かった。