でも男の子と泊まりで軽井沢とか、お母さん許してくれるかなぁ?
そんなことをあごに人さし指をちょこっとあてて考えていると、
「あのさ、乃愛」
と、夏帆が真剣な口調で切り出した。
「え? なに?」
どうしたのかな?と思いながら、夏帆を見上げる。
夏帆の身長は169センチだから、152センチのあたしはちょっと見上げることになる。
「さっきはあたし、森くんに、絶対無理とか図々しいとか、攻めすぎとか友達で我慢しときなよ、とかいろいろなことを言ったけど」
「……?」
「乃愛……藤城なんかやめて、森くんにした方が幸せになれるかもしれないなぁって、今、ちょっとだけ思った」
「え?」
「好きなくせに素直に好きって言わない男より、ちゃんと素直に好きって言ってくれる男の方が、乃愛には合ってるんじゃないの?」
「え、でも、王河はあたしのことを好きなんじゃなくて……」
「じゃあ、もっとたち悪くない? 好きでもないのに、キスするような男なんて」
「……っ、それは……」
“あたしがいいから、いいの。
王河のことを悪く言わないで”
本当はそう言いたかったけど、言えなかった。

