「あのっ、森くんっ……。頭を上げて……」
「好きです、好きです、大好きですっ!」
「あの、でもっ……」
「乃愛ちゃん、オレと付き合ってくださいっ!」
「えっと……あのっ……」
「何度断られても、オレ、あきらめないんで! オレ、乃愛ちゃんのことが大好きなんですっ! だからオレと付き合ってくださいっ!!」
ほとんど叫ぶように言ってから、森くんはあたしに向かって、もう一度頭を下げた。
「お願いしますっ! お願いしますっ!!」
って、そんなに何回もお願いされても……。
あたしは王河のことが好きだから。
OKすることなんてできないよ。
どうしよう……。
一昨日カフェでも、『好きな人がいるので、ごめんなさい』ってお断りしたばかりなのに。
また今日も“ごめんなさい”は言いにくい。
登校してきたクラスメートも、廊下にいる別クラスの生徒も、みんな興味津々って顔であたし達を見てから教室に向かっていくし。
そんな中でお断りとか、森くんに申し訳ないし、なんて答えたらいいかなぁ。
どうしたら、森くん、あたしの気持ちをわかってくれるの?
困って下を向いて、唇を少しかみしめた。

