と思ったら、森くんはササッとあたしの隣のなっちゃんと紗良ちゃんに視線をうつした。
「あ、なっちゃんと紗良ちゃんもおはよ~。あ、なっちゃん、リップの色変えた?バッチリ合ってる! 紗良ちゃん、今日も髪がツヤツヤだね~。ふたりともすっごくかわいい~♪」
「あーもー調子がいいんだから、森くんは。社交辞令だってわかってても、ついついうれしくなっちゃうじゃん!」
照れたような口ぶりで、なっちゃんが言った。
「社交辞令じゃないよ~。本音だよ~。なっちゃん、めちゃくちゃかわいいよ~。その髪型も似合ってるし~、笑顔もキラキラッ!」
「はいはい、どうもありがとう。あ、乃愛ちゃん、あたし達先に教室に行ってるね」
森くんを軽くあしらいつつも、頬を真っ赤に染めたなっちゃんは、にこっと笑って紗良ちゃんと一緒に教室に向かった。
その背中を見ていると、ちょんちょんっと肩を叩かれた。
「では、恒例の――……」
「……って。えっ、森くん。まさか、またっ!?」
「そう、その“まさか”だから、よく聞いててねっ♪」
親指をグッと突き立てて、森くんは満面の笑みをあたしに向ける。
それから大きく息を吸って、耳がおかしくなっちゃうくらいの大声で言った。
「乃愛ちゃん大好きですっ! オレと付き合ってくださいっ!!」
森くんは、あたしに向かって、ガバッと大きく頭を下げた。

