【カオルside】


綺月の姉である美月(みつき)は顔を両手で覆い、しゃがみ込むと子供のように泣きじゃくる。

そんな姿にAgain三代目聡長である聡(そう)は、困惑しながらも美月の背中を優しく摩る。


「何があったんだ、説明してくれ。一喜、カオル」


聡は美月のことになると、物凄い殺気を放つ。


「俺はよく分かんねぇよ、カオルの方が分かってんじゃねぇの?」


一喜もこの状況を上手く飲み込めずにいた。

この状況を説明出来るのは、泣きじゃくっている美月か、綺月を連れてきた俺だけだった。

面倒くさそうに頭を掻きながら、ため息を零す。


「なんとなくそうなんじゃねぇかと思ったけど、やっぱり綺月は美月の妹だったか」


そう言葉を口にすると、美月は静かに頷いた。

一條と苗字を名乗った時、なんとなく美月の妹ではないのかと察した。

どこか顔も似ていたし、神経図太いところも似ていた。