Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「綺月ちゃん、お姉ちゃんのこと大好きなんだね!」

「…うん、そうだね」


私を置いていったお姉ちゃんを憎んだことも何度もあったけど、それでも戻ってきてとは思わない。

お姉ちゃんの幸せは、私の幸せでもあるから。


「じゃあ、ご馳走様。
勉強頑張ってね」

「綺月ちゃん、本当にもう会えないの?」


帰り際、奈都はとても悲しそうに私の手を握る。


「いつかは会えるよ、同じ地球上に生きているんだから」


きっと奈都の言いたいことはそういう事ではないのかもしれない。

でも、私はそう伝えてこの手を離すしかなかった。


「じゃあね、奈都。頑張ってね」

「うん、綺月ちゃんもちゃんとご飯食べて元気にしててね!」

「あははっ、分かった」


奈都はまさに私にとって太陽みたいな存在だった。

いつも明るくて、よく笑う、お姉ちゃんみたいな優しい子だった。

私は奈都に背を向けた途端、目から涙が溢れた。

大変だし、不安だったけど、奈都に勉強を教えている時だけは楽しかった。

奈都に求められることが素直に嬉しくて自分が誇らしかった。

どんなに辛くても頑張れる気がした。

でも、もう私がその生きがいを断ち切ったんだ。

泣いている場合じゃない、心を切り替えなきゃ。

お姉ちゃんの幸せを願うなら、死ぬ選択も選ばない。

私は死ねない、もっと頑張らないと。

そしてまた私は新しく暗示をかけた。


"お姉ちゃんのために、頑張らないと"