Again〜今夜、暗闇の底からお前を攫う〜

「奈都だったらなれる」と何の根拠も無いのに予言者みたいに強く口にすると、奈都は嬉しそうに笑った。


「綺月ちゃんは?」

「え?」

「綺月ちゃんの夢は何?」


私の答えを楽しみに待っている奈都の目が純粋で眩しすぎて、私はあからさまに目を逸らした。

夢なんてない、将来なりになりたいとかもない。

未来のことなんて考えたって仕方がない。

今を生きるのに必死なのだから。

でも強いて言うなら、私は……


「お姉ちゃんが幸せになることが私の夢かな」


優しくて自慢のお姉ちゃんが、今はどこかで幸せに自由に生きていることが、今私が頑張る理由だ。


「綺月ちゃん、お姉ちゃんいるの?」

「うん」

「へぇ、きっと美人だろうなぁ。会ってみたいな!今度遊びに行ってもいい?」

「遊びに来ても会えないよ、私も何年も会ってないから」

「え?どこか遠くに行ってるの?」

「うん、どこかにはいると思う」


お姉ちゃんが自由の翼を手にして、この家から羽ばたいて向かった場所がどこかは分からない。

それでもきっと幸せで生きていると私は信じていた。